焼き芋屋さん
最近、週末になると、焼き芋屋さんがやって来る。
あの独特な宣伝歌をスピーカーいっぱいに鳴らして、やってくる。
一度、ちゃーちゃんと買いに走ってから、もともとお芋が大好きなちゃーちゃんは、
もう虜になってしまった。
週末、夕方になると、そわそわしだす。
「マドチョットアケトクネ(窓、ちょっと開けとくね)」
夕飯の支度の合間にふと見ると、
ちゃーちゃんは外から聞こえる音に耳を澄ましている。
そして、焼き芋屋さんの歌が聞こえると、私たちは顔を見合わせてから、
パパにもらったお小遣い500円を握りしめて、2人で猛ダッシュでトラックへ向かう。
マンションなので、道路に着くまでにトラックを見失ってしまう事もある。
そういう時に路地からまたトラックが出てくると、ちゃーちゃんは大興奮。
「オトォォサァァン、まってくれーーーい(お父さん、待ってくれー)」
焼き芋屋さんと言わずに、お父さんと大音量で呼び止めるので、
道行くお父さんの自覚がある人はみんな振り返る。
いや、音量が音量なので、だいたいみんな振り返る。
「ヤキイモ、カエタネェ、ヨカッタネェ(焼き芋買えたね。良かったね)」
無事に焼き芋を買って受け取ると、大事に大事に抱きかかえて、
にこにこ、にこにこ、何度も言うのである。