成長と背中合わせ
それは園からの帰り道、ちゃーちゃんの告白から始まった。
「キョウ、ちゃーちゃんナイチャッタノ(今日ちゃーちゃん泣いちゃったの)。
マミにアイタクナッチャッタノ(ママに会いたくなっちゃったの)。」
正直、私は驚いた。
普段さみしがることはある。
でも会いたい相手はいつもパパだった。
私がお出かけをしても全くさみしがらないし、
なんならパパと2人で遊びたいから、ママお出掛けしてきていいよ、などと言う。
夜お仕事から帰ってきたパパと絵本タイムをして、赤ちゃん抱っこをしてベッドまで運んでもらって、お休みの挨拶を十分に済ませたあとでも、ちゃーちゃんは言う。
「パピに、、パピにアイタイョ(パパに会いたいよ。ちなみに、かなり湿った声で。)」
だから最初は疑った。
ママに会いたくなるなんて本当かしら?と。
でも確かに眉毛が泣いたために出たであろう鼻水の影響で、
カピカピになっているのは気が付いていたし、ここのところ登園時は固い表情であった。
私は初めてのことについうれしくなって、抱っこしたりかわいいかわいいしたかったけれど、
必要以上に彼の感情を煽ることはしたくなかったので、その時は我慢した。
翌日。
登園の為に車で移動中のこと。
ちゃー「キョウはナカナイヨウニスルネ・・・(今日は泣かないようにするね)」と、力なく言うのである。
普段、わたしが泣くよりにこにこ笑っている顔が好きだと言い続けている影響だと思う。
ちゃーちゃんなりに頑張ろうとしていることがよく分かった。
でも私は「泣いてもいいよ、それは我慢する事じゃないから、さみしい時は泣いていいんだよ」と言った。
ちゃーちゃんは少し驚いた顔をしたけれど、そのまま窓の向こうを眺めていた。
お教室の前に着いたときには、すでに無口になって固い表情をしていたので、私は声をかけた。
私「ぎゅーっする?」
ちゃー「ゆんっっ」
いろいろ知恵がついて、自分の行動も抑制できることも増えてきている。
成長した姿を見るたびに心が動かされる思いをしているけれど、
前に進むだけじゃなくて、後ろに戻ることも成長にとって大切な事なんだろうなと思う。
飛び込んできた時のちゃーちゃんはにっこり笑顔だった。
もっとたくさん抱きしめてあげたいと思った。